ありがとう


母方の祖父が亡くなったと報告があった。実家は沖縄で遠方なので帰らなくてよいと言われ、弔電を送った。病気ではなく往生だった。ショックではあったが、悲しいという感情はあまりわかなかった。
直接的な悲しみより、一般的に「悲しむべきではないか」と考える自分がいる。そんな事を考えるわたしは何かが欠けているのだろうか。解らない。
子供の頃は、祖父母の家に行くのは大好きだった。楽しかった。いつからだろうか、あまり乗り気じゃなくたったのは。年を重ねるにつれ疎遠になっていき、大学に通う頃には1年に2・3度会うくらいになっていた。社会人になり、上京してからはさらに少なくなった。
彼に最後にあったのはいつだろう?

幼き頃の思い出はたくさんある。正月には親戚中が集まった。やんばるに桜を見に行った。子供の日には遊覧船に乗った。自転車も貰った。そうだ、おじいちゃんの大きな自転車に憧れていた。あの頃は足が届かなかった。いまなら、普通に乗れるだろうか。さとうきび刈りもやった。運動会も見に来てくれた。朝、突然来てケーキを持ってきたけど、途中で転んだと、箱の中でケーキがぼろぼろだった。わたしは見た目が汚いからと食べなかった。祖父の家で飲んだ野菜ジュースはゴーヤ−が入ってて苦かった。親戚集まると三味線を披露してくれた。忘年会ではいつも戦歌を歌っていたな。
そんな、昔の事を思い出しながら、お風呂の中で少し泣いた。思いでの中の祖父と、死はまだ結びつかない。彼にもう一度会えるなら、ありがとうと言いたい。いや、もう会えないのはわかっているけど。。

ありがとう。
ご冥福をお祈りします。